大地-幻想

中野和典の世界は30日まで
「大地ー幻想」でも地中深く大地を描き、死者や滅び行くモノとの対話がされている。
中野さんに「どのようにして絵を描き始めるのですか、最初に構想はあるのですか」と聞いたことがある。すると「キャンパスの染みから始める」という答が帰ってきた。キャンパスに染みを付け、その染みを見て浮かんでくるものを描き始めるという。大きい絵画で一点の染みから絵が始まるというのは驚きだった。ほかの画家さんに聞いたところ、「きっちり構想を立てて書いていきます」と答えた方がいた。それぞれアプローチの仕方が違うのだろう。「大地ー幻想」には土の石垣に溶け込むように人が描かれている。人は石と同化していく。命が薄くなればなるほど輪郭が薄くなり吸い込まれていくのだろうか。