アラベスクストーン

スケジュール 
3月6日(土)〜3月30日(火)中野和典の世界

     12時から18時30分   水曜休館
3月6日(土)17時からオープニングイベント(要予約)
  

ふうらにある一枚の絵 
 アラベスクストーン -中野和典-

 ふうらに「アラベスクストーン」という一枚の絵がある。石のような物体が空中に浮かんでいる。何度も来ているお客さんの一人は「この絵にはいろんな生き物が隠されている。それを見つけるのが面白い」とおっしゃる。
この石の目は眠っているのか、起きているのか分からない不思議な目をしている。石に目があるというのは不思議だが、この石には確かに目がある。本当は「石」のように見えているだけかもしれない。
 空にわずかに浮かぶこの物体にはいろんなものが引き寄せられている。古代魚やオットセイのような形をしているもの。カメやイモムシ。割れた皿を頭に乗せたものもいる。そして、イヌヤヒトも。この物体は滅び行くものを糾合させていく力を持っているのではないか。そして、この物体の浮かんでいるところは「時間」というところのように思える。 雲はどんどん変わっていく。この物体は何も変わらないように死者を乗せていく。地上には干上がった大地と土に変わろうとする甲殻類やさかな。かろうじて形をとどめている。
 空を眺めていて、このアラベスクストーンが見えたとき、私たちも旅に出ることができる。夜を飛ぶフクロウに守られながら。