汚染-大地

中野和典の世界は〜30日まで

サイが正面に描かれている。そのサイの角は汚れ、皮膚にもほころびがある。そして、柔らかに体を丸めながら背中に乗っている大きな虫は、サイを癒しているようにも見える。サイに寄り添うように描かれている小さい動物。遠くには灌木の林だろうか。そしてその向こうには岩の塊の大きな台地。サイの目には大きな涙が流れている。私は中野和典が涙を描いているのをほかには見たことがない。サイの視線の前にある白い花。この花の下の方を見ると廃棄物のようなものが積まれている。このモノトーンに近い絵の中でこの白い花は際だっている。抑制され凝縮されたこの白は何もかもを引き受けているように思える。
この絵をブログで紹介している若い音楽家がいる。石橋侑子さん。彼女の演奏会もスペースふうらで企画中。彼女はギターに写真と多才です。

もうひとつ絵を見に来た少年の感想。かれは「ウツボがいた絵が好き」だといい、その後「あのなぁ。像の上に人がいて、糸が切れてると思ったら小人やってん」と言っていたと言います。子供の目は面白い。