美藤康夫陶展が始まった。「どっこ」と名付けられた骨壷。「独壺」(どっこ)は美藤さんの命名だ。生者と死者の「両者を結ぶ「想い」がこの独壺の中に深々と眠っている」このように語る美藤さん。これを部屋に飾り、逝ってしまったものと対話をする。すると記憶とともによみがえってくるのだろう。

 たまたま「骨壷を見ながら対話をしていますよ」というお客様が来られていた。お墓に収めるのもいいかもしれないが、部屋に骨壷を置き、お酒を飲みながら対話をする。いいではないか。やがて、対話をしていた生者も彼岸に行ってしまう。そして人々の記憶にあったものは少しずつ消えていく。「独壺」(どっこ)。孤独ではあるが、暖かさを感じさせる作品です。

花器も野の花がよく似合う。小さい野の花をさりげなくさしてあげる。悲しいことが多い時こそ、つかの間であっても飾りたい。私はとてもそういう誘惑に駆られている。
 白磁はとても素朴だ。美藤さんの「風之窯」は穴窯だという。穴窯は入口から奥まで多様な陶器が誕生する。淡く色付いた白磁朝鮮半島で作られていた窯から時空を超えて訪れてきたような気持さえする。
 一週間。「風の窯」で焼かれた作品に囲まれながら、対話をしていきたいと思う。

 ふうらの自由帳・・・・放射能から身を守るために