「モノ」語りは増殖する   気仙沼リアス・アーク美術館の展示の「被災物」への応答

13日(日)~26日(土) 12時~6時
    「モノ」語りは増殖する 

  気仙沼リアス・アーク美術館の展示の「被災物」への応答

  「被災物」画像と「モノ」語りの展示

https://monogatari-workshop.jimdosite.com/

はじまりました。要予約のイベントは下記の通りです。

 

19日(土)2時
 「モノ」がたりワークショップ
    被災物に触発された記憶の「モノ」語り
                  案内人   姜信子さん
                  参加費   1500円

 

26日(土)2時  
  東北の語り物/東北の想像力   その2
       東北・南三陸の「むかしむかし」を語る
       琵琶と摩碓
                         三味線 語り  渡部八太夫さん
                案内人     姜信子さん
            
                         

気仙沼のリアス・アーク美術館には「東日本大震災の記録と津波の災害史」という常設展示があります。

 

ここには、学芸員が被災地の泥の中から集めてきた「被災物」も展示されています。瓦礫でもゴミでもなく「被災した物=被災物」です。
「被災物」には共に生きてきた人々の記憶が宿っています。

 

リアスアークの学芸員は、なんと驚いたことに、一つ一つの被災物の記憶をキャプションとしてつけたのです。もちろん、学芸員自身の記憶ではありません。「被災物」が語りかけてくる声を学芸員が聞き取って書きつけた。

これ、学芸員の創作とも言えます。自身も被災者である学芸員が、他者の被災物を前にしたときに、自身の記憶の「モノ」語りがふつふつと生まれ出てきた。美術館の展示としては掟破りです。でも、ここには、知らず知らずあてがわれた型に収められてしまう私たちの記憶の物語とは異なる、個々の記憶の物語が溢れています。

 

さて、震災の被災者ではない者が、この「被災物」の前に立つとどうなるか?

最初は、震災の記憶に応答しようと思いました。でも、それは至難のことでした。

じっと被災物を見つめてみました。

自身の「モノ」にまつわる記憶がよみがえってきました。封じられていた記憶の蓋が開いたようでした。

どうしたことか、「被災物」を前にした者たちは、次々と自身の記憶の物語を語ったり、歌ったり、踊ったりしはじめたのです。

なるほど、これが、気仙沼リアス・アーク美術館の「被災物」の物語への応答なのでした。

 

「被災」「復興」というような大きなくくりの中に配置されてゆく記憶ではなく、個々の暮らしの日々の襞から立ち上がってくるひとりひとりの「モノ」語り。

 

リアス・アーク美術館より展示の許可を得た61枚の「被災物」の写真とキャプションがあります。

61枚の「被災物」から生まれ出た、新たな「モノ」語りの数々があります。

「モノ」語りはどんどん増殖しています。

それを、気仙沼から遠く離れたところに生きる多くの人々にも見てほしい、
そこに添えられているささやかだけど、かけがえのない記憶の物語を読んでほしい。

そして、「被災物」を見るうちに、思いもよらぬ「モノ」語りが生まれ出てきたならば、その大事な「モノ」語りをそっと聴かせてほしい。

そんな「モノ」語りの場を、ここ、スペースふうらに開きます。

  要予約